東京フォーラム概要

第3回核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム、ニューヨークで開催
―最終報告書へ向け起草委員会設立など決まるー

 いよいよ3回目を迎えた「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」(日本国際問題研究所、広島平和研究所共催)の会合が1999年4月9日と10日の2日間、米国ニューヨーク州タリータウンのポカンティコ会議場で行われた。参加者は17カ国から計21人。共同議長の一人、明石康・前広島平和研究所長が欠席したため、松永信雄・日本国際問題研究所副会長が議長を務めた。

  前回までの討議の成果を踏まえ、事前に事務局で準備した最終報告書のドラフト案をもとに、初日の午前中は提言の前提となる、核をめぐる国際情勢の認識、提言の方向性などについて議論し、午後からは不拡散をめぐる問題、また2日目は核軍縮に関し提言に盛り込むべき内容などが話し合われた。インドのジャスジット・シン氏は、事前のドラフト案に異議を唱えて欠席したが、松永共同議長の電話による説得で、最終会合には参加を約束した。

 討議の中でまず、核をめぐる国際情勢については、キャンベラ委員会の核廃絶に関する報告書が作成された1996年以降、インド・パキスタンによる核実験をはじめとして、厳しい状況にあり、北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴスラビア空爆開始後、旧ソ連の核を放棄したウクライナやベラルーシでは、核再武装論が台頭するなど、不拡散体制は逆風の中にあるという意見が出された。

  この中で提言の目指す方向としては、厳しい情勢を踏まえつつも、できるだけ前向きな、迫力ある提言にすべきこと、包括的な内容にするよりも重点を絞り、意見が分かれれば多数意見と少数意見の併記にすべきこと、各国政府や国連だけでなく、各国の市民にもアピールできるものにすべきことなどが話し合われた。

 核不拡散問題の中では、南アジアの不拡散とグローバルな不拡散をリンクさせて考えるべきだとの指摘や、インドとパキスタンに中国を加えた3者による脅威の除去などの提案がなされた。

  核軍縮に関連しては、ミサイル防衛の是非論、中国の透明性、国連の役割強化、あくまで核廃絶を念頭に置いた核軍縮の必要性などが参加者から指摘された。しかし、厳しい国際情勢認識の下、時限を設けた核廃絶提案については困難との見方が主流で、核の大半を保有する米ロの戦略兵器削減交渉の早期進展を軸に、多様な手段を組み合わせて核軍縮を可能とする環境を作り出すことに力点が置かれた。

 こうした議論を踏まえ、1999年7月23日から25日まで東京で開かれる最終会合への準備として、米ヘンリー・スティムソン・センター所長のマイケル・クレポン氏を委員長とする計7人の起草委員会を設け、最終報告書案の作成を始めることが決まった。

 会議後、ニューヨーク市内で行われた記者会見で松永議長は「東京フォーラム発足後の国際情勢は、核軍縮に逆行する展開となっている。現状からさらに不拡散を進めるためには積極的な行動を起こす必要がある。各国政府に提言が受け入れられるために、フォーラムの勧告は、これまでの提言の一歩先を行くものにしたい」と述べた。

 なお、新たに発足した起草委員会は5月27、28の両日、スイス・ジュネーブの軍縮会議日本代表部で会合を行い、7月初めをメドに最終報告書案をまとめ、参加者全員に送付することなどを決めた。

(水本和実)

起草委員会のメンバーは次の通り。
委員長=マイケル・クレポン
委  員=セルゲイ・ブラゴボーリン
      テレーズ・デルペシュ
      ヨアヒム・クラウゼ
      パトリシア・ルイス
      韓 昇洲
      事務局代表

(肩書きについては、東京フォーラム開催当時のもの)

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